小倉百人一首(81-85)

後徳大寺左大臣

ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただありあけの 月ぞ残れる
(ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる)

道因法師

思ひわび さてもいのちは あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり
(おもひわび さてもいのちは あるものを うきにたへぬは なみだなりけり)

皇太后宮大夫俊成

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
(よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる)

藤原清輔朝臣

ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
(ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき)

俊恵法師

夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり
(よもすがら ものおもふころは あけやらで ねやのひまさへ つれなかりけり)